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公開 更新 ガイド執筆・監修 佐々木 航人が監修しながらAIを活用して執筆

オープンソースのERP4件を比較 日本の会計で使えるのはどれか

ERPNext、Odoo、iDempiere、Dolibarrを公式の配布物と案内で比べた。無料の版で会計まで使えるか、日本語の画面と勘定科目のひな形はあるか、国内で頼める先はあるか。ERPNext v16に日本語の翻訳ファイルは無く、Odooの包括的な会計機能は有料の企業版だけだった。

社長から「無料のERPがあるらしいから、調べてくれ」と頼まれた。販売と在庫と会計を1つにまとめたい。ただ、パッケージの見積もりは高い。

オープンソースのERPを探すと、ERPNext、Odoo、iDempiere、Dolibarrの名前が並ぶ。どれもソースコードを公開していて、ライセンスの費用がかからないように見える。しかし、2026年11月1日に公式の配布物と案内を確かめると、無料の版で会計まで使えるか、日本語の画面と勘定科目のひな形があるかは、4件でかなり違った。

無料の版で、会計まで使えるか

机に広げた色違いのファイル4冊を、担当者と社長がのぞき込んでいる。手前に請求書の束と電卓がある
イラスト:編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI)

最初の問いで、Odooだけが分かれる。Odooにはオープンソースのコミュニティ版(LGPL v3)と、有料ライセンスの企業版がある。公式の版の比較によると、総勘定元帳や銀行勘定調整、ローカリゼーション、レポートを含む包括的な会計機能は企業版だけで、コミュニティ版は請求までだ。給与、スマホのアプリ、Odooのホスティング、版を上げる支援も、企業版の側にしか印が無い。

コミュニティ版で販売と在庫を試して「これなら会計も」と考えると、後で話が変わる。会計まで含めて比べるなら、Odooは企業版の料金で見積もることになる。

ほかの3件に、会計を有料の版へ分ける区分は見当たらない。ERPNext(GPL-3.0)は、機能を有料版に分けないと公式サイトで言い切っている。iDempiere(GPL-2.0)はライセンスの費用がかからない。Dolibarr(GPL-3.0)は複式簿記の会計を機能の一覧に載せている。

日本語の画面と、勘定科目のひな形はあるか

次に効くのは、入れた直後の画面が日本語か、日本の勘定科目から始められるかである。4件の配布物と公式の案内を見ると、次のようになった。

「公式サイトで確認できず」は、2026年11月1日に公式の案内と配布物で記載を見つけられなかった項目である。

意外なのはERPNextだ。v16の翻訳ファイルには韓国語や中国語、タイ語がある一方、日本語が無い。基盤のFrappeの翻訳ファイルも同じだった。勘定科目のひな形にも日本は無く、確かめた範囲で日本向けと言えるのは、初期設定の税率(10%と8%)である。日本語で使うなら、翻訳を自社で用意する前提になる。

DolibarrとOdooには、日本の勘定科目のひな形がある。Dolibarrの配布物には、「資産合計」「流動資産」のように日本語の名前で330行のひな形が入っている。Odooの日本向けモジュールは勘定科目と税のひな形で、説明文は「必要な勘定をすべて含むとは限らないので、足したり直したりしてほしい」と断っている。ひな形があっても、そのまま決算まで進めるとは限らない。

日本の商習慣に踏み込んでいるのは、iDempiereのJPiereである。国内のオープンソース・イーアールピー・ソリューションズが開発するプラグイン群で、消費税の処理の拡張、月に複数の締日を持つ五十日払い、まとめ請求書、全銀協のフォーマットのFBデータ作成、入金データの消込まで案内している。ただ、最新の最終版はJPiere12(2026年4月公開)で、本体のiDempiereがすでに公開した13の版には、これから対応する。

どの製品を試すにしても、インボイスの記載事項は自分の目で確かめたい。国税庁が挙げる登録番号、税率ごとの対価の総額と消費税額が、出した請求書に載るかどうかだ。試す環境で1枚出し、顧問の税理士に見てもらうのが早い。

国内で頼める先はあるか

ERPは入れて終わりではない。困ったときに日本語で頼める会社があるかで、選べる製品は絞られる。

Odooは、公式のパートナーの一覧で日本を選ぶと12社が並ぶ(2026年11月1日時点)。日本向けモジュールの作者に名前があるQuartileも、その中に見える。iDempiereは、JPiereの開発元が導入の支援と研修を手がけている。

一方、ERPNextの公式パートナーを地域別に見ると、アジア太平洋にインドの74社などが並ぶものの、日本は無い。Dolibarrの公式パートナーの一覧にも日本は無かった。公式の一覧に無くても、国内で扱う会社がいないとは限らない。ただ、探す手間は自社で負う。

自社のサーバーで動かすなら

動かすのに要る技術も4件で違う。ERPNextはLinuxかmacOSの上で、Python、Node.js、Redisと、MariaDBかPostgreSQLを使う。OdooはPython 3.10以降とPostgreSQLだ。iDempiereはJavaと、PostgreSQLかOracleで動く。DolibarrはPHPと、MySQL、MariaDB、PostgreSQLのどれかで足りる。社内にPHPのWebサーバーを運用した経験があるなら、Dolibarrが入りやすいだろう。

サーバーを持ちたくない会社には、ERPNextなら運営会社のFrappe Cloud、Odooなら企業版のホスティング、Dolibarrなら協力会社のクラウドがある。iDempiereの公式の案内は、自社で入れる手順が中心になる。

どれから試すか

4件の差を、会社の形に置き直すと次のようになる。

  • 日本語の画面で、まず小さく触りたい:Dolibarr。言語ファイルと勘定科目のひな形が配布物に入っていて、使う機能だけを有効にできる
  • 導入会社に頼む前提で、ライセンスの費用を払える:Odooの企業版。日本の勘定科目のひな形とパートナーがそろう
  • 日本の締めや請求に合わせたい、社内か外部に開発の手がある:iDempiereとJPiere
  • 英語の画面で構わない、製造や海外の拠点が中心:ERPNext。機能を有料版に分けず、設計の画面も作り直された

社長への最初の答えは「無料なのはライセンスまでです」になるだろう。どれか1つに決める前に、自社の請求書を1枚と、よく使う勘定科目を10個ほど入れてみたい。合わないところが見えたら、GRANDITやOBIC7のような国産のパッケージと、改めて総額で比べればよい。

よくある質問

ライセンスの費用がかからないなら、導入の費用もかからないのか

かからないのはライセンスの費用だけで、設定とデータの移行、サーバーの運用、社員の時間は別に要る。JPiereの開発元も、ERPの機能と自社の業務の差を見極め、埋める作業を導入の中心に置いている。

Odooのコミュニティ版から企業版に移れるか

公式の版の比較は、いつでも切り替えられると案内している。手順はOdooのドキュメントの「Switch from Community to Enterprise」にある。

出典

この記事は、公式の発表をもとに、人が監修しながらAIを活用して執筆しています。執筆と監修は佐々木 航(株式会社Game)が担い、公開した記事も人が確認しています。記事の中身の責任は編集部が負います。誤りに気づいたときは 訂正の窓口 からお知らせください。直したときは、記事の末尾に更新の行を残します。